血液型占いは人種差別である
定番の話題に血液型占いというものがある。
この記事を読んでいるあなたも、勿論一度くらいは興じたことがあるだろう。
しかしこの血液型占い
実は、人種差別なのだ。
一体どういうことか。それを説明するには18世紀まで遡る必要がある。
リンネという植物学者をご存知だろうか。分類学の父と呼ばれている人。もっと簡単に言うなら、植物をWikipediaで調べると~科~属とか出てくるが、あの概念を作った人だ。
ここまでなら大きな功績を残した偉人として映るのだが、コイツは余計なことをし始める。
さて、彼が生きた18世紀は人種についての議論が白熱した時代でもあった。ヨーロッパの知識人が、科学的に「白人以外は劣っている!」と豪語し、科学的な裏付けを得た大衆もそれに乗じてワイワイしていたのだ。
そんな中、リンネも独自の理論を展開した。それは次のようなものであった。
人間(ホモ種)は、主に四つに分類でき、その性格にも傾向がある。
・アメリカヌス:短気、頑固、慣習に縛られる。
・アジアティクス:憂鬱、高慢、貪欲。
・アフリカヌス:ぞんざい、狡猾、怠け者、気まぐれ。
・エウペウス:快活、筋肉質、温和、聡明、創意に富む。
アフリカ人(アフリカヌス)を露骨に貶している一方、ヨーロッパ人(エウペウス)を異様に持ち上げている。もちろんこれらは彼の主観によって描かれた、根も葉もない定義である。記述量からも、アメリカとアジアは適当でいいや感がひしひしと伝わってくるし、白人を上げてその他を下げる主張の材料にしようとしているのは誰が見てもわかる。
要するに、リンネは人種と性格を結びつけたのだ。ここが今回の論点なので覚えておくように。
時は変わって19世紀。
ラントシュタイナーがABO式血液型というのを発見する。A・B・O・AB型四つの血液型があるよ、という皆さんお馴染みのやつだ。
そしてこれが判明すると、血液型の分布も調査できるようになった。つまり、どの地域・人種にどの血液型が多いのかある程度分かるのである。
結果、インディアンの7割以上はO型、黒人の8割はA型、ブラジル人は100%O型であるなど、人種ごとの血液型の偏りが判明した。
また、ヨーロッパ系の人がほとんどA型かO型であるのに対し、アジア系にB型が多いことを発見した。動物はほとんどB型であるから、「アジア人種は動物と同程度で、白人より劣っている!」という論理の飛躍も甚だしい白人カーニバルがまたしても開催される羽目になる。
ラントシュタイナーはユダヤ人で、彼自身人種差別に強く反対していた。しかしそんな彼は、図らずも血液型と人種の結び付きを自ら証明してしまったのだ。
さて、ここまで来たら言いたいことも何となくわかって貰えたと思う。
血液型を人の判断材料にするというのは、つまりその人の血(≒人種)で性格(人格)を判断するということであり、リンネの主張と同義なのだ。
だから、血液型占いが普及しているのは日本だけなのである。
単一民族の日本ならば、こういった冗談が通じるが、様々な人種や血が入り交じった欧米諸国でやったら、冗談では済まなくなる可能性がある。
そもそも血液型占い自体がしょうもなさ過ぎて議論の的にすらならない。なので、日本人の皆様は是非、こういった歴史的背景を心に留めておいて海外では血液型の話題は控えるようにしよう。
おわり。
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